久留米大学


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「テーラーメード型ペプチドワクチン」療法

「テーラーメード型ペプチドワクチン」療法 久留米大学医学部免疫学教室では1990年代から精力的に「がんワクチン」研究を行ってきました。そして、2008年に厚生労働省による「最先端医療開発特区」への参加が認められた久留米大学医学部免疫学教室では、2009年4月に「がんワクチン外来」を設けています。
そして、従来の治療法では効果がないと言われた末期がん患者を中心に年間300人が「がんペプチドワクチン」治療を受診しています。
久留米大学医学部免疫学教室の「がんペプチドワクチン」治療は「テーラーメード型ペプチドワクチン」療法と呼ばれ、「がんペプチドワクチン」治療と従来の「抗がん剤による化学療法」を組み合わせた治療を行っていることが大きな効果を示しています。
つまり、「テーラーメード型ペプチドワクチン」療法とは、それぞれの患者に適したペプチドを投与するということです。
もともと、末期がん患者の場合は、がん細胞に対して「キラーT細胞」は働いています。
しかし、がん細胞の数に対して「キラーT細胞」の数が圧倒的に少ない為に、がんの病巣が大きく成長している訳です。
そこで、久留米大学医学部免疫学教室では、この「キラーT細胞」が認識しているペプチドと同じタイプのペプチドを合成して大量に投与する方法を開発しました。
また、同大学では31種類のペプチドを用意し、患者のがんのタイプや白血球のタイプで効果が高いと考えられるペプチドを4種類見つけて、最高4種類同時に投与する治療も実施しています。

これらの治療は患者一人ひとりに対して個別に行われる為、「テーラーメード型ペプ これらの治療は患者一人ひとりに対して個別に行われる為、「テーラーメード型ペプチドワクチン」療法と呼ばれています。
同大学の研究によりますと、ワクチンを打つ前に「キラーT細胞」ががん細胞を殺す確率は10〜20%以下ですが、「テーラーメード型ペプチドワクチン」を打つことによって40〜50%に効果が高まっていることが確認されています。

がん細胞の耐性

がん細胞の耐性 がんは非常に多様性に富んでいます。
例えば、同じ病巣のがんでもホルモン剤や抗がん剤が効くがんも有れば効かないがんも有ります。また、効いていた抗がん剤が、ある時期から全く効かなくなることもあります。
同様に1種類の「キラーT細胞」に対してがん細胞が耐性を持つ場合があります。
「キラーT細胞」はがん細胞表面のペプチドと呼ばれるタンパク質のかけらを認識して攻撃していますが、そのペプチドが消えたがん細胞が増えると「キラーT細胞」は無力です。
その為に、4種類のペプチドを同時に投与すると効果が出る訳です。
また、「テーラーメード型ペプチドワクチン」と抗がん剤を組み合わせることで効果を上げています。