「がんペプチドワクチン」が実用化されるのは何時か?


「がんペプチドワクチン」が実用化されるのは何時か?

臨床試験の内容と必要期間

臨床試験の内容と必要期間 現在、少なくとも数十種類の「がんペプチドワクチン」が臨床試験を行っています。 その中で最も先行しているのはすい臓がんと肺がんの臨床試験で、第3相の終わりに到達 しています。
従って、「がんペプチドワクチン」の実用化の時期を読み解くためには、臨床試験の仕組み を理解しなければなりません。
臨床試験はヒトの薬の研究開発の最終段階に当ります。
大学病院や研究機関や企業で長い年月を掛けて研究開発された治験薬は非臨床試験で有効 性と安全性が確認され、非臨床試験をクリアすると最後の関門である臨床試験に挑むこと になります。
そして、最後の関門である臨床試験では倫理性と科学性を重視しながら、第1相試験(フ ェーズT)から第3相試験(フェーズV)まで綿密に臨床試験が実施されます。
第1相試験(フェーズT)は少数の健常者を対象に、治験薬の安全性と副作用を調べます。
また、治験薬の体内での吸収から排出までの時間などの基礎的なデータが収集されます。
第2相試験(フェーズU)は少数の患者を対象に、同意を得た上で治験薬の有効性と安全 性が試されます。
第3相試験(フェーズV)は多くの患者に同意を得た上で参加して貰う必要があります。
治験薬が多くの患者に対して、どの様な効き目と副作用が有るのかを重点的に調べます。
従って、より多くの患者から長期間のデータを収集する必要がありますが、新薬を待ち望 でいる患者の為に早く結論を出す必要も有る訳です。
そして、臨床試験に費やされる期間は、2000年〜2008年の非臨床試験と臨床試験の調査に よりますと次の通りとなっています。
前臨床試験は平均25ヶ月掛かり・第1相試験(フェーズT)は平均15ヶ月・第2相試験 (フェーズU)は平均15ヶ月・第3相試験(フェーズV)は平均25ヶ月となっています。

「がんペプチドワクチン」臨床試験進捗状況

すい臓がんA 第3相臨床試験終了
すい臓がんB 第3相臨床試験後半
肺がんA 第3相臨床試験後半
肺がんB 第2相臨床試験中盤
悪性脳腫瘍 第3相臨床試験前半
前立腺がん 第2相臨床試験後半
胆道がん 第2相臨床試験後半
膀胱がん 第2相臨床試験前半
食道がんA 第2相臨床試験中盤
食道がんB 第1 相臨床試験後半
骨髄異型症候群 第1 相臨床試験中盤
大腸がん 前臨床試験
肝臓がん 前臨床試験

「がんペプチドワクチン」予想される実用化時期

「がんペプチドワクチン」予想される実用化時期 従って、過去の臨床試験に費やされた平均期間と、「がんペプチドワクチン」臨床試験進捗 状況を勘案すれば大よその実用化時期は推測できます。
しかし、ここで考慮されなければならないのは、「がんペプチドワクチン」が厚生労働省の 「最先端医療開発特区」に認定されているということです。
「最先端医療開発特区」では、臨床試験期間の短縮が謳われているからです。
従って、それらを総合的に判断して最も実用化が早い場合の予想時期は次の通りです。

すい臓がん 2014年前半
肺がん 2014年前半
悪性脳腫瘍 2014年後半
前立腺がん 2015年前半
胆道がん 2015年前半
膀胱がん 2015年後半
食道がん 2015年後半
骨髄異型症候群 2016年前半
大腸がん 2017年前半
肝臓がん 2017年前半